2022年本屋大賞ノミネートを始め、様々なミステリーランキングで時の人となった浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』。映画化、舞台化、漫画化というトリプルミックスが決定され、話題となっています。今回は、絶妙な心理戦を繰り広げる就活ミステリーの魅力について、ご紹介!舞台化の詳細についてもあわせてご紹介していきます。
『六人の嘘つきな大学生』ってどんな本?
作品情報
作品名:六人の嘘つきな大学生
著者:浅倉秋成
出版社:KADOKAWA
発売日:2021年03月02日
ページ数:304ページ(単行本)
本作は、新進気鋭の若手作家・浅倉秋成さんの第6作目の本。浅倉秋成さんは、2019年発表の『教室が、ひとりになるまで』で本格ミステリ大賞と日本推理作家協会賞にWノミネートされたことでも話題になった小説家。繊細なキャラクター描写と伏線回収の巧みさで人気を博しています。2022年5月現在、映画化、舞台化、漫画化、オーディオブック化が発表され、幅広い世代から注目を集めています。
受賞・ノミネート歴
第22回本格ミステリ大賞・ノミネート
第43回吉川英治文学新人賞・ノミネート
2022年本屋大賞・ノミネート
ブランチBOOK大賞2021・大賞
第5回未来屋小説大賞・第2位
ミステリが読みたい! 2022年版(ハヤカワミステリマガジン2022年1月号)・国内第8位
週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2021 年12 月9 日号)・国内部門第6位
このミステリーがすごい!2022年版(宝島社)・国内第8位
2022本格ミステリ・ベスト10(原書房・国内ランキング第4位
第12回山田風太郎賞・候補
『六人の嘘つきな大学生』のトリプルメディアミックスとは?
映画化、舞台化、さらに漫画化が決定した『六人の嘘つきな大学生』。
舞台版は波多野祥吾役に牧島 輝さん、そして嶌衣織役に中村ゆりかさんというW主演で2022年6月に東京で上演されました。
今回のリーディングアクトは、Blu-rayで発売しています。6月25日の収録分で、特典映像は2つ。
①スペシャル鼎談(牧島 輝×中村ゆりか×原作者 浅倉秋成)
②アフタートーク(牧島 輝、小越勇輝、京典和玖、原作者 浅倉秋成)
リーディングアクト「六人の嘘つきな大学生」
2022年6月22日(水)~25日(土) 東京都 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
原作:浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」(KADOKAWA)
脚本:真柴あずき
演出:山崎彬
キャスト
波多野祥吾:牧島輝
嶌衣織:中村ゆりか
森久保公彦:小越勇輝
袴田亮:吉田健悟
矢代つばさ:高野麻里佳(Wキャスト)、山根綺(Wキャスト)
九賀蒼太:京典和玖
鴻上達章:佃典彦
漫画版は、杉基イクラさんのキャラクターデザインをベースに、大沢形画さんが漫画化を担当します。浅倉秋成さん全面監修のもと、原作とはちょっぴり違う要素をプラスしたストーリー展開で、コミック化されています。
映画版についてはまだ詳細の発表がありません。これまでにも本屋大賞受賞作は、多数映画化されています。第1回受賞の小川洋子さんの「博士の愛した数式」から、恩田陸さんの「夜のピクニック」、伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」、湊かなえさんの「告白」、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」など話題作もたくさん!
2019年の受賞作である、瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」は2021年に映画化されました。2015年の受賞作である、上橋菜穂子さんの人気小説シリーズ「鹿の王」は2022年に「鹿の王 ユナと約束の旅」として映画化。2020年の受賞作である凪良ゆうさんの「流浪の月」の映画版は2022年5月に公開予定となっています。
「六人の嘘つきな大学生」は、2024年の公開を予定しているそうです。
また、Amazonオーディブルでのオーディオブック化も!ナレーションは、人気声優の木村良平さんが担当されています。再生時間の目安は10時間ほど。通勤や通学途中に聞きながら、ワクワクどきどきしてみるのもおすすめ。
『六人の嘘つきな大学生』のあらすじ(ネタバレなし)

成長著しいIT企業「スピラリンクス」で行われる初めての新卒採用。五千人の中から選ばれた六人の就活生の最終選考課題は、一カ月後に行われる選考までにチームを作り、ディスカッションをするというもの。内容が良ければ、全員を採用するという人事担当の話しに、六人は交流を深めていく。
しかし、本番の選考直前に、一方的な課題の変更が通達される。それは、六人全員を採用することができなくなったため、内定者一人を決めるというものだった。
互いに信頼しあい、同じ目標に向かって進んでいたはずの六人は、突然、たった一つの内定の席を奪い合うライバルに。本番の選考の途中で、六通の封筒が発見される。その中には、「○○は人殺し」という告発文が!着々と進む選考の行方、そして犯人は誰なのか…。
* * *
前半は「Employment examination-就職試験ー」、後半は「And thenーそれからー」という二部構成の本書。前半と後半で語り手が代わり、真相が明らかになっていきます。
『六人の嘘つきな大学生』の登場人物
波多野祥吾(はたの しょうご):立教大学経済学部
九賀蒼太(くが そうた):慶応大学総合政策学部、イケメン
袴田亮(はかまだ りょう):明治大学、高校時代は野球部キャプテン
矢代つばさ(やしろ つばさ):お茶の水女子大学で国際文化を学ぶモデル風美人
嶌伊織(しま いおり):早稲田大学で社会学を学ぶ清純派女優系美人
森久保公彦(もりくぼ きみひこ):一橋大学

登場人物のさりげない人物紹介にも、ヒントが隠されていることも…
『六人の嘘つきな大学生』の感想

就活していた頃の感覚を呼び起こしてくれる本作。序盤、もしやイヤミスを読み始めてしまったのかと思いましたが、二転三転する展開にどんどん引き込まれていきました。途中、やや強引なところもあったようにも思いますが、最後まで目が離せず、納得感もありました!
本作を読んで、2022年のお正月に放送された「緊急取調室」の新春スペシャル版で法曹一家の判事の言葉を思い出しました。その「真実はひとつではない」という言葉は、コナンくんの常套句とは真反対。事実はひとつだけれど、人によって、その事実が持つ意味は全く違うのかもしれません。
ラストはどこか、温かな気持ちになれるミステリーです。就活生にも、かつて、就活生だった大人たちにも、そして、これから就活に向かっていく高校生、大学生にもおすすめの1冊だと思います。

カドブンでは試し読みができますよ!
https://kadobun.jp/trial/6liarcollegestudents/
おしまいに
映画化、舞台化、漫画化とトリプルメディアミックが決定、さらにオーディブルでも楽しめるという話題作「六人の嘘つきな大学生」。まずは原作を楽しみ、さまざまなメディアで新しいアプローチを試してみるのもいいかもしれないですね♪
